直径154mm 高35mm
仏手柑(ぶっしゅかん)は柑橘類の一種で、果実が指を合わせた手のかたちをしているので、こう名付けられたようです。江戸時代には桃、柘榴とともに『三果文』と縁起の良い果物として喜ばれ、絵付けの題材になっています。しかし食用としてはポピュラーでなく、実体があまり知られていない仏手柑がデフォルメ簡略化された絵柄になると「これはなに?」という事態になりかねない。浜野さんの仏手柑は、より実物の仏手柑に寄せながら元々の絵柄の雰囲気も漂わせる、絶妙な匙加減で描かれています。赤絵の虎もそんなふうに描かれていたのを思い出します。
この五寸皿は焼き具合が素晴らしく、表面の細かい泡立ち、呉須の濃い発色、うつわの左の釉溜まりなど強い印象があり、絵柄の構図は鍋島のようですが、藍九谷を思わせる迫力があります。高台の内側に一本、外に三本の線が入っています。